
声優になりたいと思って、少し検索してみると「お金がかかる」「学費が高い」という言葉が出てきます。
現役人気声優さんたちも「学校時代は親の全面的なバックアップがあったから絶対にデビューしないといけなかった」「アルバイトとの両立が苦しかった」と振り返っている人も多いですよね。
声優養成所、声優専門学校に通う上で、具体的にかかる費用は学費だけではありません。学んでいるだけでも、レッスンウェア、ダンスがあるところなら専用シューズ、日舞があるところなら浴衣と、思わぬ費用かかってきます。オーディション一つ受けるのにも、無料というものは少ないです。
申し込む段階で自分の宣材資料を作るだけでもお金がかかってきます。声優となるまでには、どんな費用がかかってくるのでしょうか。アルバイトや仕事との両立、さらに養成所や専門学校で学ぶ期間も重要です。
こんな費用が養成所や専門学校ではかかる!
- 入所金(入学金)
- 授業料
- 入所(入学)オーディション料
- 教材費
- 日舞やダンスの授業で必要な用具など
- 施設費
- 交通費
- 一人暮らしなら家賃や生活費
- 合宿費
このように、項目は多々あります。一つずつどんなものが必要なのかを見てみましょう。
入所金(入学金)
高校、大学などでも設定されている入学にかかる費用です。授業料とまとめられていることもあります。2年通う場合なら、初年度のみになります。
授業料
養成所や専門学校で必要になるお金の最も大きい割合を占めます。そのため、授業料が低いところを選ぶと、声優になるまでにかかる費用を抑えられることになります。
ただし、養成所選びがうまくいかないと、また違う養成所や専門学校へと移ることになり、さらに費用が必要になるかもしれません。
入所オーディション(審査)料
声優養成所や専門学校では、入所オーディションを行っているところが多いです。養成所によって異なりますが、5,000円~10,000円程度の費用がかかります。
一校だけですぐに受かればその分だけで済みますが、合格しないとさらにオーディション料が必要です。
教材費
授業料に含まれていることが多いのですが、入所後に個別に収集されるなどしてかかる養成所や専門学校もあるようです。
日舞やダンスの授業で必要な用具など
普段のレッスン用のウェアなども必要ですが、これは動きやすければ指定はないところがほとんどです。日舞やダンスは、レッスンに取り入れている学校と、そうではないところがあります。
日舞の場合なら、浴衣や帯が必要で新たに揃えるなら3万円から4万円程度かかるといわれています。
施設費
養成所や専門学校内にスタジオや音響設備が備わっているところでは、利用料が必要なケースがあります。一方養成所や専門学校に通っている間なら、自由に校内設備を使える学校も見つかります。
レッスンを重ねると、施設の利用回数が多くなったり、オーディション前に自己練習したりなど、施設や設備を使わないといけなくなることが多いです。都度施設費を必要とする学校がいけないというわけではないですが、注意をしておきましょう。
交通費
声優養成所や専門学校へ行くのに、徒歩ならばともかく、電車など公共交通機関を利用するなら当然交通費がかかります。
声優養成所は学校法人に含まれないため、通所回数が多くても通勤定期を購入して通うことになるでしょう。学校法人化している声優専門学校なら、通学割引が適用されます。
一人暮らしなら家賃や生活費
声優養成所や専門学校に通うために一人暮らしするなら、家賃や生活費が必要になります。
アミューズメントメディア総合学院(AMG)のように学生寮や、学生マンションなどのサポートがある学校も一部ではあります。
合宿費
合宿を行う声優養成所もあります。合宿費用として宿泊代などが必要となることもあるので、入所前に確かめておいたほうがよいでしょう。
必要になる費用は多いものの、普段のレッスンごとに大きなお金が必要になってくるわけではありません。それでも入学時には準備が必要ですから、大まかな金額を予想しておきましょう。
人気声優専門学校・声優養成所の学費
主に授業料、入所金、施設費、オーディション費用など必須のもののみ記載しています。通学費や生活費などは個別に加算してください。
アミューズメントメディア総合学院(AMG)
2年制の専門学校です。
初年度
入学金100,000円
授業料870,000円
施設設備費200,000円
演習実習費100,000円
2年次
授業料870,000円
施設設備費200,000円
演習実習費100,000円
総合計2,440,000円
税込・ただし、別途教材費用が必要
青二塾
入塾受験料11,000円
入塾金220,000円
前期受講料440,000円
後期受講料440,000円(9月末日までに納入)
年間合計1,100,000円
日舞用浴衣・帯3~4万円程度別途負担
日本ナレーション演技研究所(日ナレ)
週1回クラス
入所金100,000円(2年目以降不要)
年間受講料200,000円
週2回クラス(お茶の水/名古屋/大阪 各校で開設)
入所金100,000円
年間受講料360,000円
週3回クラス(代々木校で開設)
入所金100,000円
年間受講料500,000円
スタートアップクラス(代々木/池袋/仙台/名古屋/大阪 各校で開設)
入所金20,000円
4月生受講料120,000円(4月から翌年3月まで)
7月生受講料90,000円(7月から翌年3月まで)
81アクターズスタジオ
東京校週1クラス
入所オーディション料5,000円
入所金110,000円
年間授業料210,000円
合計325,000円
税込。原則一括納入。演技レッスン以外の授業に使用する教材費は別途要
東京校本科
入所オーディション5,000円
入所金160,000円
年間授業料620,000円
年間損害保険料17,000円
税込。一括納入
俳協ボイス
ベーシックワークショップ(週1回・3か月)
学費(入所金含む)100,000円(税別)
組合員出資金1,000円
スタンダードクラス(週1回・6か月)
入所受験料7,000円
学費(入所金含む)220,000円(税別)
組合員出資金1,000円
アドバンスクラス(週1回・6か月)
学費(入所金含む)80,000円
要教材費。受講クラスは自分で選べず、ワークショップ→スタンダード→アドバンスの順に受けることが基本。スタンダードクラスでは二次まで審査があり、合格しないとアドバンスクラスへと進めない
インターナショナルメディア学院
週1回
ベーシック40,000円/月
アドバンスト50,000円/月
プロ50,000円/月
月ごとの授業料のみ必要な養成所の場合は、卒業までの予測金額を自分で計算しておきましょう。全日制などでアルバイトをするのが困難な場合は、入学前に費用をきっちり準備する必要がありますね。
やっぱり高くて声優養成所に通えない!学費を抑える方法はないの?
学費を見て、お金の面で通うのが難しいと感じた人も多いでしょう。声優養成所や専門学校で、学費を少なくできる方法はないのでしょうか。
授業料減免、オーディションによる特待生などの制度を設けているところもあります。ただし、「成績優秀な場合」といった条件が付いている場合、必ずしも自分が減免の対象とはならない可能性もありますね。
アミューズメントメディア総合学院(AMG)
AMG特待生制度
優秀かつ意欲ある学生に対し奨学金を付与
試験あり(体験、見学、相談会での規定を要確認)
1年次授業料からのみ減免対象(2年次の学費、1・2年次の教材費は免除なし)
- 全額
- 半額
- 4分の1
早期出願申し込み(4月~5月)、AOエントリー第一期(6月~7月)と、早期に申し込みが終了するので希望する場合は要注意
青二塾
学校で特待生制度などは設けていませんが、日本政策金融公庫の教育ローンを利用できます。日本政策金融公庫、銀行などの窓口で相談可能です。
日本政策金融公庫の教育ローンの金利は、1.17%(固定金利。2019年10月14日現在)と大変低金利で、返済期間を長期設定にもできます。
利用希望の場合は、必ず受験前に申し込み、書類審査を完了させてください。合格が分かってから手続きをすると、審査期間などで納入の期限に間に合わなくなることがあります。
日ナレ
特待生制度でデビューした人気声優さんもいるのですが、現在は制度が実施されなくなっています。入所金は一括納入が必須ですが、年間受講料のみ分割納入ができます。
81アクターズスタジオ
81オーディションが行われており、合格すれば特待生として無料で授業を受けられます。オーディションの参加資格は、中学卒業以上27歳までの男女(未成年は要保護者の承諾)、現在他のプロダクションに所属や契約していないことなどがあります。
オーディションの参加費用は2,000円となっています。
オーディションの合格は狭き門なので、大半の方は授業料等を支払って通うことになるでしょう。東京校本科の学費となると、総合計が797,000円(オーディション料除く。年間損害保険料含む)となるので、かなり大きな金額です。
原則一括納入が原則です。分割で支払いたいなら信販会社のクレジットの利用となります。
俳協ボイス
ワークショップ、ベーシック、スタンダードの合計の学費は、400,000円(生協費や教材費別)となるため、免除などが利用できればよいですよね。しかし、特に学費免除などの措置はありません。学費も一括納入が原則となっていますので、入学前に準備が必要でしょう。
インターナショナルメディア学院
特待生オーディションでは、選ばれると初期費用や授業料の割引を受けられるようになります。また、成績優秀ならベーシックコースを飛ばし、アドバンストコース、プロコースから入所することも可能です。
専門学校や養成所などの経験は問われませんが、現在どのプロダクションとも契約していないことが条件となります。
声優養成所や声優専門学校では、特待生制度や奨学金制度をなくしているところが増えつつあります。また、オーディションや試験に絶対合格しないといけません。ダメだった場合の学費についても考えておく必要があるでしょう。
学費がとにかく安い声優養成所に通ってもOK?
声優養成所や、声優専門学校の学費には卒業まで30万円程度から200万円以上までと、とても幅が広いですね。学費が高いところに通うのは、予算なども関係しますので、簡単に決めるのは難しいかもしれません。
たとえばアミューズメントメディア総合学院(AMG)は、専門学校ですので学費は短期の養成所に比べると高くなります。しかし授業時間に比例して、授業内容も基礎からしっかりと組み立てて、広範囲に渡って学べるため、ジャンルも多岐に渡ります。
声優の仕事は、アニメだけでなく吹き替え、ナレーション、ゲームや歌まで実に幅広いです。幅広く学んでおくことで、様々な仕事に対応しやすくなることはいうまでもありません。
また、AMGの場合、卒業後の事務所所属も学内オーディションが大変多く、チャンスが広いのも大きなメリットとなります。通常養成所からは、養成所直営の事務所への所属というコースが主流です。
養成所、事務所によって得意なジャンルが限定されていることもあり、自分がやりたい声の仕事とは違うことをやっていく可能性も出てくるでしょう。
学費で養成所や専門学校を比較することも大切ですが、声優としてどう活動していきたいのか、この点まで考えて選ぶ必要があります。どうしても学費の面で不安があるなら、奨学金や特待生などの制度を導入しているところを探してみましょう。
もちろん成績や才能なども評価されるものなので、誰でも特待生になれるわけではないですし、奨学金を得られるわけではありません。それでも、トライしてみる価値は十分にあるでしょう。
